金大中大統領への要請文
 
(2000年4月に韓国原爆被害者協会が提出したもの)
2,300余の会員の念願をこめて要請文を提出しますので、特段の配慮と善処を要望します。

 尊敬する大統領様!

 国政全般に果敢な改革を通じて第2の建国を成し遂げておられ、IMF危機より経済を回生させるために心を痛めておられる大統領様に、わたくしども2,300余の会員は無限の感謝と敬意を表します。

 大統領様もよくご存じのように、原爆被害者協会会員たちは、日帝36年間の植民地支配の過酷政策による苦難の時期に、生きるために祖国を離れ彷徨するようになり、その結果、日本の広島、長崎に住むことになったために、あるいは日本が侵略戦争を遂行するために創氏改名して天皇に忠誠を尽くすことを強要し、徴兵、徴用で強制連行し、広島、長崎で強制労働につかせて酷使したために、人類最初の原子爆弾に被爆させられることになりました。

 そして、帰国後は、原爆投下は侵略戦争を起こした日帝を膺懲して、祖国解放を早めたという韓国内の歴史的認識と国民情緒のために、社会の冷遇の中で生きてまいりました。

 1965年の韓日請求権協定締結後、わたくしどもに何らの補償対策もなく、1967年に韓国原爆被害者協会を創立し、日本政府を相手に戦後補償を要求するという力に余る闘争をしてきました。これに対して、日本政府は終始一貫して1965年の韓日条約ですでに清算済みだと主張してきております。

 しかし、1978年に日本の最高裁判所(大法院)で、韓国人原爆被害者の孫振斗氏が提訴した裁判において、原爆被害者に対して国家補償的配慮があると明確に判示されました。

 尊敬する大統領様!
 大統領様もよくご存じの通り、平民党総裁のときに、どこでお聞きになったのか、原爆被害者の痛ましい事情をお聞きになられ、直接会いたがっておられるとの連絡が、秘書室を通じて協会にございました。当時の本協会任職員13名が指定された食堂で昼食をとりながら、約3時間半にわたって、わたくしどもの困難な問題をお話し申し上げたところ、大統領様はご傾聴、ご慰労くださり、野党総裁として解決できるカはないが、力の及ぶ限り力になれるよう努力するという激励のお言葉をくださいました。そのお言葉にわたくしどもは勇気百倍で、日本政府と韓国政府に対策を講じるよう、ねばり強く要求してまいりましたが、その結果、慮泰愚前大統領と日本の海部総理大臣との首脳会談で、人道主義的立場という名分で、医療支援金の約束を取り付けることができ、1991年〜1993年に都合40億円(当時の韓国ウオンで約250億ウオン)を受け取り、大韓赤十字社に原爆福祉事業所を設置し、今日まで同基金を管理してきています。

 しかし、当時の実務協商時には、協会の意見はまったく聞かれず、韓日政府間で一方的に協会支部のある各市道7カ所に福祉センターを建立する費用と診療費等に40億円を使用することが取り決められましたが、韓国側からもこれに相応した金額を支援するとの約束がなされました。

 同基金の運営において、陝川原爆被害者福祉会館を建立したうえで、韓国政府の支援約束分を含めて、約5〜600ウオンの基金ができれば、その利子の運営金である年間40億ウオンだけで、最小限会員たちの診療費(医療保険本人負担額)と死亡時の葬祭費、会員一人当たり毎月10万ウオンの診療補助費の支払いが可能だと推定して、現在に至っております。しかし、政府の約束が履行されないために、毎年基金損失をもたらし、このまま行けば2004年には基金が使い尽くされる危機に陥っています。

 尊敬する大統領様!
 さきほど申し上げましたように、2004年に基金が使い尽くされれぱ、わたくしどもはふたたぴもとの状態にもどって、病苦と貧困の悪循環に陥ります。2,300余の会員たちは、大統領様に次のように切に要請いたします。

1.当時政府が約束した40億円(韓貨250億ウオン)に相当する基金出損により、残余基金と併せて、現行通り、治療費および診療補助費の支給が可能になるように、ご配慮くださることを望みます。

2.もしも基金の一時出損が難しいのであれば、毎年同額の利子運営金(約25億ウオン)だけでもご支援くださり、基金消滅を防いでくださることを、あえて要請いたす次第です。

大統領様の特段の配慮と善処を望み、国事多忙であられるにもかかわらず、このような要請文をさしあげることをご理解くださり、ご健康であられますよう、お折り申し上げます。
     2000年4月
     社団法人 韓国原爆被害者協会  
            会長 崔日出 
            外 2.300余 会員一同
  

              (韓国の原爆被害者を救援する市民の会 訳)


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