韓国の原爆被害者を救援する市民の会機関誌「早く援護を!」114号より

在外被爆者問題について、国会で

厚生労働大臣が検討を明言

(衆議院厚生労働委員会)


三月一六日の衆議院厚生労働委員会において、中川とも子議員が、在外被爆者問題をとりあげ、厚生労働省の姿勢をただした。まず中川議員は、日本政府が把握している在外被爆者の国別の人数(手帳を取得し失権させた被爆者数)を質問した。そこにおいては、厚生労働省が検診と実態把握のために医師と係官を派遣しているアメリカ、ブラジルと、その努力をしてこなかった、韓国、北朝鮮との違いが鮮明になった。


 また苦労して日本に来て「被爆者手帳」を交付されて手当を受給しても、いったん出国するとそれらの権利がすべて失権してしまう理不尽さについても、中川議員は鋭く追及した。厚生労働省の篠原局長は、こうした失権措置の法的根拠を問い詰められ、「法的な根拠はない」ことを認めた。さらに中川議員の理と情を尽くした問いかけの結果、公明党出身の坂口力厚生労働大臣が自ら答弁にたち、「在外被爆者問題については、今後検討していく」ことを明言した。


 厚生労働大臣がこの問題で「検討」を口にしたことは、初めてのことであり、楽観は許されないものの、政府の姿勢を変えさせる第一歩といってよい。今後予定される、在外被爆者問題に関する「議員懇談会」の結成をとともに、二一世紀の早いうちの解決を目指す動きに全力をあげていきたい。



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