被爆五一年、在韓被爆者は要求する
             −四○億円でおわらせないために

 日本政府が四○億円の一時金で、「在韓被爆者問題」を精算したがっていることは先に述べました。それに対して韓国の被爆者が命を賭して反対したことも先述した通りです。被爆五○年の慰霊祭をソウルでおこなった韓国原爆被害者協会の鄭会長は、被爆五○年ですべてを終わりにしないために、五一年目以隆の協会の運動指針を日本政府への要求書という形でもとめ、一九九五年一○月に発表しました。
 それによると、在韓被爆者は引き続き国家補償を求めて闘いをつづけること、そして次世代の運動としてニ世への補償を要求することをあらためて掲げています。こうした声に応えることが、以後の在韓被爆者支援運動の核心になるはずです。要求書は以下の通リです。


 

要求書



 私たち在韓被爆者は我等の処遇に関して去る五月に要望書と七月に具体的内容の提案書を提出し、同じ被爆者として平等な日本人並みの援護を要求し、また五○年間の苦痛に対しての補債を求めてきましたが、いまだなんの反応もなく黙殺されています。
 我等は再度要求いたします。

(1)我等は侵略戦争のため、強制連行等による不本意の在住被爆と、それに起因して正常人なる生活がでさなかった五○年間の償いとしての三千億円の補償をさっそく履行することを求めます。
(2)現存する在韓被爆者に、日本人被爆者と平等な援護を実施すること、もしくは生存予想期間を考慮し、その援護金としてまとまった一時金を拠出し援助して下さることを求めます。
(3)また被爆者の父母をもつがゆえに、正常な生活が営めない家庭に育ち、成長しての結婚問題などで白眼視される社会的制約を受け遺伝などの不安をもちながら生活する一二万余名の被爆者二世青少年に対しても、相応な補償援助があるよう要求いたします。

       一九九五年一○月
                          社団法人韓国原爆被害者協会会員一同
                                             会長 鄭相石

  (在韓被爆者が語る被爆50年−求められる戦後補償−〈改訂版〉より)


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