広島県の藤田雄山知事、国に在外被爆者への援護適用を求める考え


(中国新聞ニュース2001年6月19日より)


国に在外被爆者への援護法適用を/広島県知事

 広島県の藤田雄山知事は十八日、国に対して在外被爆者への被爆者援護法の適用を初めて求める考えを明らかにした。広島、長崎両県市と議会で組織する「広島・長崎原爆被爆者援護対策促進協議会」(八者協)を通じ、八月にも要望する。

 藤田知事は記者会見で、国が控訴した在外被爆者訴訟大阪地裁判決について、「これまでの国の考えを覆すもので、重大な関心を抱いていたが、係争中でありコメントは控えたい」とした。一方で、在外被爆者に被爆者援護法に基づく健康管理手当が支給されない実態に、「同じ被爆者でありながら(国内外で)援護の格差が大きく、残念な思いを抱いていた」と表明した。

 その上で、「厚生労働相が被爆者援護法を見直す考えを示したと聞いており、被爆地の知事として在外被爆者の援護充実に向けた対応がされるなら歓迎する」と述べ、県として積極的に対応する考えを示した。

 具体的には、広島県・市と両議会、長崎県・市と両議会で組織している八者協を通じ、在外被爆者への被爆者援護法適用を働きかけていく。広島県は現在、関係機関との協議に入っている。八者協が、在外被爆者への援護法適用を要望するのは、初めてとなる。

 広島市原爆被害対策部の本多正登部長は「三年前から、援護法の枠外に置かれている在外被爆者への支援を八者協の要望項目とするよう提案していたので、知事の方針を評価したい」と歓迎。「国内外の居住地を問わず、被爆者支援を進めるのが八者協の存在意義と考えている。人道的見地から何らかの支援を実現したい」とし、県とともに関係機関に働きかける考えを示している。

【写真説明】国に在外被爆者への被爆者援護法適用を要望する考えを明らかにした
藤田知事



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