原告・郭貴勲さん
韓国国会人権政策研究会
抗議の声明書

6月17日10時30分より、韓国の民主党記者室において、原告・郭貴勲さんと、国会人権政策研究会が共同の記者会見を行い、以下のような日本政府の控訴に対する抗議声明書を発表した。


声明書

【海外居住の原爆被害者に対しても「援護法」を適用せよ】

大阪地方裁判所が、原爆被害者は国家と民族を超越して援護されるべきであるという明確な判決を下したにも関わらず、日本政府は去る6月15日にその判決を不服として控訴し、高齢の在外被爆者たちが死滅するのを待つ術策を弄したことは、非人道的・非人間的かつ不道徳な行為であり、これを糾弾する。

 一日も早く、日本政府は、三重苦に苦しむ在外被爆者に対し、司法部の判断のままに、援護法本来の精神に基づき、積極的に援護に乗り出すことを、重ねて要求する。

2001年6月17日

在外被爆者援護法適用裁判 原告 郭貴勲


声明書

【日本政府は控訴を撤回し、外国居住の原爆被害者にも「援護法」を適用せよ!】

 
 去る6月1日、日本の大阪地方裁判所は、韓国人原爆被害者・郭貴勲(78,強制徴兵・原爆被害者、京畿道城南居住)さんが、日本政府と大阪府を相手取って提訴した「健康管理手当受給資格確認訴訟」において、原告完全勝訴の判決を下した。

 裁判所は判決文において、「援護法」は個人の被爆事実を重視する法律であり、属地主義を適用する根拠がなく、外国居住者を除外する場合、日本国憲法第14条の平等規定にも違反しうるという点を明示した。また、「援護法」は被爆者を支援するための人道主義目的の社会保障と国家補償の性格を同時に併せ持つものであり、日本居住に関係なく手当てを支給しなければならないと、判決した。

 われわれは、大阪地方裁判所の判決は、日本政府の戦後責任を明らかにしたものと評価し、遅蒔きながらも、5000余名の外国居住の原爆被害者たちの苦痛を和らげる契機として作用するだろうと、全幅の歓迎をしてきた。とくに、この度の判決に対して、日本の主要なマスコミと、良心的な政治家、市民社会が大々的に歓迎したことに注目し、歴史歪曲と日本社会の右傾化にも関わらず、アジアの戦争被害国と信頼を回復することができる契機になることを希望し、日本政府が控訴しないことを期待していた。

 しかし、去る6月15日、日本の厚生労働省と大阪府は、自国の良心勢力と言論、被害者とアジア周辺国の期待に顔を背けたまま、すでに敗訴した論理を挙げて控訴した。

 日本政府の控訴は、日本軍「慰安婦」問題に対する責任回避や歴史歪曲問題と軌を一にするものであり、余命幾ばくもない高齢の被爆者たちに、三重の苦痛を強いるものであり、人道主義に対する挑戦である。

 とくに、ハンセン病に対して控訴しなかった日本政府が、戦争責任と関連する原爆被害関連訴訟にだけは控訴したことは、外国人に対する差別を露骨化するものである。

 ここに、国会人権政策研究会は、日本政府に対し、以下のように要求する。

1.日本政府の非人道的、外国人差別的な控訴を強く糾弾する。

1.高齢の被害者たちには時間がない。日本政府は今からでも控訴を撤回し、外国居住の被爆者に対しても平等に「援護法」を適用せよ。

1.日本政府は、原爆被害者問題、日本軍「慰安婦」問題、歴史歪曲などに対し、国際法的責任と、人道主義的責任を、履行せよ。


 今後、国会人権政策研究会は、日本の現役議員たちで構成される「在外被爆者に援護法適用を実現させる議員懇談会」、在日の原爆被害者支援団体などとの緊密な連帯を通じて、外国居住の被爆者たちも平等に日本政府の支援を受けられるよう力を尽くすとともに、戦争責任に対する日本政府の法的責任の履行を要求する活動を強化していく所存である。

2001年6月17日

国会人権政策研究会 代表 李美卿


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