求釈明書
(郭貴勲側より出されたもの)

平成13年(行コ)第58号 被爆者たる地位確認等請求控訴事件
                                   直送済

控訴人     国 他  
被控訴人   郭 貴 勲

求釈明書

2001(平成13)年9月○○日   

 大阪高等裁判所第9民事部ハ係 御中

被控訴人訴訟代理人弁護士   永  嶋  靖  久 


1 本件の争点について

 控訴人は、原審において、その提示する争点につき、変遷と混乱を重ねた上で(その詳細は、原審原告準備書面(9)21頁のとおり)、「本件の主要の争点は『いったん、被爆者健康手帳の交付を受けた者が、日本国内に居住も現在もしなくなることにより、被爆者援護法1条に定める被爆者たる地位を失うか』と言う点であると認識している」と主張した(平成12年10月6日求釈明に対する回答書)。
 そして、原判決は、原告と被告の主張を受けて、主たる争点の(2)として、「被爆者が日本に居住も現在もしなくなることにより、被爆者たる地位を当然に喪失するか否か」と設定したのである(原判決6頁)。
 ところが、控訴人は、「原判決はそもそも本件の争点についての把握が適切でない」と主張している(控訴理由書7頁)。
 従って、控訴人は、平成12年10月6日求釈明に対する回答書における主張を撤回するのか、それとも維持するのか。撤回するのであれば撤回する理由を、維持するのであれば、上記求釈明に対する回答書における主張と控訴理由書における主張の関係について明らかにされたい。


2 控訴人が主張する解釈の根拠について

 控訴人は、控訴理由書で、「明文規定の存否だけではなく、当該法律全体の法構造・立法者意思・法律の構造などから合理的に解釈することを要する」と述べる(控訴理由書4頁7行目、同旨8頁12行目、32頁5行目)。しかし、控訴理由書には「被爆者援護法の法構造・立法者意思・法律の性格」以外の主張がない。
 従って、上記引用文中における「など」とは何か。控訴人は、「被爆者援護法の法構造・立法者意思・法律の性格」以外にも、控訴人の解釈を合理的とする根拠がある、と主張するのか。あると主張するのであれば、その具体的内容はなんであるか、具体的に主張されたい。


3 行政法の原則について

  控訴人は、原審において、控訴人の解釈を根拠づける第1の主張として、
@「法は、それを制定した国家の主権が及ぶ人的・場所的範囲において効力を有するのが原則」(被告ら第5準備書面5頁)
A「法は国家の主権の及ばない外国においては適用されないのが原則」(第7準備書面1頁)
B「一般的に行政法は国内においてのみ効力を有するという原則」(第9準備書面9頁)
C「行政法は特別の定めのない限り、日本国内においてのみ効力を有するとの原則(いわゆる属地主義の原則)」(平成12年10月6日付求釈明に対する回答書2頁)と、主張してきた(変遷の経過と理由は、原審原告第9準備書面10ページに詳述)。
 しかし、控訴理由書には、行政法の原則にかかる主張は、広島地裁判決の引用文中にあるだけで(控訴理由書31頁)、控訴人ら自身の主張としては、記載がない。しかも、広島地裁判決の判示は、上記@と同じであって、Cとは異なる。
 従って、@からCの主張のうち、控訴人はいずれかの主張を控訴審においても維持するのか、それとも撤回するのか。維持するのであれば、その内容はどのようなものであるのか、明らかにされたい。


4 控訴人がいう「社会の構成員」について

 控訴人は、非拠出制の社会保障法の適用対象者は「我が国社会の構成員」であると主張する(控訴理由書28頁10行目)。あるいは、憲法14条との関係に関して、「我が国社会の構成員」あるいは「日本社会の構成員」との概念を用いる(同34頁17行目、26行目、35頁8頁目、9頁目)。
 「我が国(もしくは日本)社会の構成員」とは何か、具体的に定義されたい。


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