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郭貴勲「被爆者援護法」裁判第9回口頭弁論

郭貴勲さん第九回口頭弁論傍聴記

(会報 早く援護を!第110号より)

 二○○○年二月九日、今年に入って初めての口頭弁論があった。前回、倉本さん・森田さんの証言を受けて、裁判所は、今回の口頭弁論までに被告である国と大阪府に対して、戦傷病者戦没者遺族等援護法では海外在住の者にも年金を支給でき、被爆者援護法では手当を支給することが立法技術上・運用上困難だという理由を示してほしい、といった。

 そこで国と大阪府は、「手帳交付や手当の申請は都道府県知事にすることになっている」「葬祭料を出す際に死亡の確認ができない」など理由にならない理由をあげつらねて、「被爆者援護法にはわが国に居住も現在もしていない者に適用することを定めた規定がないので困難だ」という内容のない返答をしてきた。また、出国により「被爆者」たる地位が失われる理由を、「被爆者援護法は、日本国内に居住または現在するものを適用の対象とするのであるから、たとえいったん取得された被爆者援護法上の『被爆者』たる地位といえども、そのものが外国に出ることによって同法が適用されなくなるために当該『被爆者』たる地位が失われるのは法の解釈上当然のことである」といってきた。

 これに対して、永島弁護士が弁護団の作成した別表(八・九ぺ−ジ)を指し示し、出国によって、手帳や手当に影響があったりなかったりする恣意的な対応をしているのは、被爆者援護法のみであることを明解に実証した。(詳しくは別表解説を参照)

 さらに、永嶋弁護士は、被告らのいう「そのもの」とは何を指すのか、と問うた。すると、国の代理人は「日本国内に居住または現在するもの」と、さらりといってしまった。それでは、現在日本国内にいる被爆者手帳を持つ人すべてが、一日でも税関を出ると「被爆者」ではなくなる、ということだ。

 また、今回の裁判では、裁判長が被告に「被爆者が外国に出ること」をどうやって確認するのかについて次回までに返答するよう求めた。

 被告は裁判が回を重ねるごとにどんどんその主張の矛盾を深めている。ただ、毎回韓国から裁判に出席される郭さんが「日本は法治国家じやないですよ」といつも言われるように、裁判所に対しても最後まで油断はならない。これからも支援をお願いします。

 次回の裁判は、三月一五日午後四時半から大阪地裁八○六号法廷であります。


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