李康寧さん裁判関連記事

1999年6月1日(長崎新聞)


援護に国境はあるのか
            韓国人元徴用工提訴


 「被爆者は被爆者」

   李さん「切り捨て」に憤り

 「どこにいようと、被爆者は被爆者だ」。三十一日、被爆者援護法に基づく健康管理手当を打ち切られたとして、国などに処分取り消しなどを求める訴訟を起こした韓国人元徴用工の李康寧さん(七一)は、「内外人不平等」に憤りをあらわにした。日本の植民地支配、被爆、そして援護切り捨て−。戦後半世紀を経ても苦しみを背負う在韓被爆者は、立ちはだかる壁に挑む姿勢を強調した。


 長崎地裁に提訴後、記者会見した李さんは「被爆者手帳は、私にくれた(援護への)約束。手当を打ち切るのは納得できない。どこに住んでいようと日本国は援護する義務がある。被爆者に内も外もない」と国などを批判した。
 厚生省は一九七四年、公衆衛生局長の通達で「法は日本国内に居住関係を有する被爆者に対し適用されるもの」との見解を示した。
 長崎市もこの通達に沿って、李さんへの同手当支給を打ち切った。同省は一貫して「被爆者援護法は社会保障の枠内なので、国内在住者だけに適用される」との主張を崩していない。
 だが援護法には、受給の要件に国籍や居住地を問う規定はない。原告側は「行政の内部指示である通達が、なぜ受給の権利を奪うのか」と国などの違法性を訴える。李さんにとって、国の言い分は「在外被爆者の切り捨て」にしか映らない。李さんとともに来日した韓国原爆被害者協会の車貞述釜山支部長も「強制的に日本に引っ張られた韓国人が、なぜ日本人と平等でないのか」と語気を強めた。
 韓国の原爆被害者を救援する市民の会の平野伸人長崎支部長は記者会見後の支援集会で「すべての被爆者に平等の援護を求める大きな裁判になる」と重要性を強調した。


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