李康寧裁判、勝訴判決関連ニュース一覧

<産経新聞2001.12.26>
■国に103万円支払い命令 健康手当の受給資格認める 
処分取り消し請求は却下 長崎在外被爆者訴訟
 

<産経新聞2001.12.26>
■国に103万円支払い命令 健康手当の受給資格認める 処分取り
消し請求は却下 長崎在外被爆者訴訟
     
 被爆者援護法に基づく健康管理手当が帰国を理由に打ち切られたの
は不当として、韓国釜山市在住の元徴用工、李康寧さん(74)が国
と長崎市を相手に、打ち切り処分の取り消しや、不支給分の手当と損
害賠償の計約四百万円の支払いを求めた「長崎在外被爆者訴訟」の判
決で、長崎地裁は二十六日、健康管理手当の受給資格を認め、国に不
支給分の手当、百三万円の支払いを命じた。健康管理手当の打ち切り
処分の取り消しの訴えについては却下した。

 在外被爆者の手当受給資格を認めたのは、韓国人郭貴勲さん
(77)に対する六月の大阪地裁判決に次ぎ二度目。在外被爆者につ
いて、「手帳は国内のみ有効」などと法令に盛り込むとする国の方針
と対立する内容となった。

 川久保政徳裁判長は、判決理由で「原告は帰国して日本に居住して
いなくても、被爆者援護法にいう被爆者の地位を失わず、被爆者健康
手帳は無効にならない。手当打ち切りは違法」と指摘。「援護法が国
籍要件を認めず、内外国人を問うことなく援護の対象者としたことも
併せ考えると、解釈にあたっては在外被爆者のみに不利益となるよう
な限定的な解釈はすべきでない」と判断した。

 打ち切り処分取り消し請求については、「行政処分にあたらず、訴
えは不適法」などとした。

 訴えによると、李さんは徴用先の長崎市内で被爆。韓国に帰国後、
糖尿病などの治療のため一九九四年七月に来日し、被爆者健康手帳を
取得した。「運動器機能障害」と認定され三年間の手当支給も決まっ
たが、同年十月に帰国すると支給を打ち切られた。

 原告側は、援護法に海外居住の被爆者を適用除外する規定は存在し
ないとし、長崎市長が旧厚生省の局長通達に従い手当を打ち切ったの
は違法と主張。法の下の平等を定めた憲法や人道的な面から被爆者救
済を図る援護法の目的にも反するとして、不支給分の手当約百三万円
の支払いなどを求めた。

 これに対し国側は、援護法は社会保障法であり、日本社会の構成員
でない海外居住者には適用されないと反論していた。


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