李康寧裁判、勝訴判決関連ニュース一覧

<朝日新聞12月26日(13:22)>
在外被爆者の李さんに未払い手当て支給命令 長崎地裁
 

<朝日新聞12月26日(13:22)>
在外被爆者の李さんに未払い手当て支給命令 長崎地裁



 長崎市で被爆した韓国釜山市の李康寧(イ・カンニョン)さん
(74)が、被爆者援護法に基づく健康管理手当が帰国を理由に打ち
切られたのは不当として、国や長崎市などに未払い手当の支給や慰謝
料など計約400万円の支払いを求めた訴訟で、長崎地裁は26日、
未払い手当約100万円の支給を命じる判決を言い渡した。川久保政
徳裁判長は、援護法には国家補償的配慮があり、出国しても支給を受
ける権利は失わない、との判断を示した。

 6月の大阪地裁判決に続き、在外被爆者の手当受給権を認めた判決
は、日本を離れることで援護法は適用されないとする国側の姿勢を改
めて問うものとなった。

 裁判で原告側は「被爆者には人種や国籍、居住地による違いはな
い」とし、「国外でも、被爆者と認定され手当を受ける資格を認めら
れた地位は、変わらない」と主張した。

 これに対し、被告の国側は援護法について「国家補償的配慮があ
る」と認めたが、「ほかの戦争被害者に対する補償との均衡から、明
文規定のない在外被爆者を対象としていない」と反論した。

 この点について、広島で被爆した郭貴勲(クァク・クィフン)さん
に未払い手当の支給を命じた大阪地裁の判決は、「被爆者を日本に住
むか一時的に滞在するかで差別することになり、法の下の平等を定め
た憲法14条に反する恐れもある」と判断していた。国と大阪府は控
訴している。

 原告の李さんは日本で生まれ、徴用工だった17歳のときに被爆。
45年12月に韓国に渡り、94年に病気治療のために来日した。そ
の際、健康手帳を取得して健康管理手当(月額約3万円)を3カ月間
受給したが、出国を理由に支給が停止された。李さんは97年、国な
どに再審査を請求したが却下されたため、99年5月に提訴した。

 厚生労働省は大阪地裁判決後、在外被爆者の援護策について検討会
を設置。今月18日、渡日治療費支給などの援護策を決める一方、被
爆者健康手帳の適用範囲を国内に限るよう、省令で新たに明記する方
針も決めた。


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