李康寧裁判、勝訴判決関連ニュース一覧

<読売新聞12月26日20:36>
国に在外被爆者への手当支給命令…長崎地裁
 

<読売新聞12月26日20:36>
国に在外被爆者への手当支給命令…長崎地裁

 長崎で被爆した韓国・釜山市の李康寧(イ・カンニョン)さん
(74)が、帰国を理由に被爆者援護法に基づく健康管理手当の支給
を打ち切られたのは不当として、国と長崎市などに対し、未払い手当
の支給と慰謝料など300万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が26
日、長崎地裁であった。川久保政徳裁判長は「帰国によって被爆者と
しての地位は失っていない。手当の受給権がある」と述べ、国に対
し、未払い手当全額約103万円を支給するよう命じた。今年6月の
大阪地裁判決に続き、海外に住む被爆者に援護法の適用を認めた。

 川久保裁判長は判決で、同法の趣旨を「被爆者の被害が特異で深刻
との認識で制定されており、国家補償的な配慮がある」と判断。「外
国人被爆者にも適用される」として、「税金で賄われる社会保障制度
を海外居住者には適用できない」とする被告側の主張を退けた。

 手当の支払い義務については、長崎市長に事務を委任していた国に
あるとした。国家賠償は「職員らに故意、過失があったとは言えな
い」と棄却した。

 判決によると、李さんは長崎市の三菱兵器製作所大橋工場に徴用さ
れ、被爆。94年に治療のため来日し、長崎市長は同8月から3年間
の健康管理手当(月額約3万3000円)の支給を決定。しかし、帰
国後の同11月から打ち切られ、99年5月に提訴した。

 李康寧さんは「この判決で、在外被爆者への日本政府の対応が変わ
ることを期待したい。政府の控訴断念を願うばかりだ」と話した。厚
生労働省健康局は「判決内容を検討し、関係省庁と協議して対応を決
めたい」とのコメントを出した。


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