中国新聞ニュース   2001.12.19 


 渡日費用や治療支援 在外被爆者援護

渡日費用や治療支援 在外被爆者援護 '01/12/19

 ■来年度から厚労省 5億円を計上

 在外被爆者への援護問題で厚生労働省は十八日、二〇〇二年度予算に、被爆者
健康手帳を取得するための渡日旅費の負担や治療支援などを柱とした対策費五億
円の計上を決めた。年間千人程度の来日を見込み、三年以内にすべての在外被爆
者へ手帳交付を目指す。

 ■援護法適用は先送り

 被爆者援護法の適用は「今後の検討課題」(坂口力厚労相)とし、基金創設に
よる在外被爆者への現金支給も、結論を先送りした。

 計画では広島、長崎の両県市に対し、補助金として五億円を拠出。両県市が既
に実施している在外被爆者への支援事業を拡充する。(1)渡日治療の受け入れ
準備(2)渡航費の補助(3)来日後の医療機関のあっせん(4)帰国後の情報
提供や相談業務―などが柱で、国外の医師の研修受け入れも実施する。

 健康上の理由で来日できない被爆者については、現地に担当者を派遣。「被爆
確認証(仮称)」を発行し、来日時に速やかに手帳を交付する。出国すると無効
となっていた被爆者健康手帳については、再交付がいらなくなるよう政令を改正。
一方で、手帳が国内のみ有効であることを明記し、「被爆の証明書」として限定
する。

 坂口厚労相は同日の会見で、今回の支援策を「あくまで第一段階」と強調し、
援護法の適用については「第二段階として検討したい。時間を掛けるわけにはい
かないから、できるだけ早く結論を出す」と説明。基金創設による現金給付につ
いては「個人に対してか、国に対してか、現段階で結論が出なかった。今後、早
急に結論を出す」と話し、援護策の拡充に前向きな姿勢を示した。

【写真説明】02年度から在外被爆者への渡日旅費や治療の負担を発表する坂口
厚生労働相


 会報・ニュースへ戻る