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                   2005年5月23日

広島市市長 秋葉忠利 殿

  広島市長の控訴に抗議し、その取下げを求める

     在ブラジル・在アメリカ被爆者裁判を支援する会
           代表世話人   田 村 和 之

 去る5月10日の在アメリカ被爆者裁判広島地裁判決に対する広島市長の控訴は、長年、放置されてきた在外被爆者の救済をさらに先送りするもので、市民と被爆者に対する背信行為であり、厳重に抗議する。

 判決のどこに、どのような問題があるとして控訴したのか、まったく明らかにされていない。理由を説明しないままでの控訴は、公僕として不誠実の極みである。

 広島市長は、控訴審で勝訴する決意と展望を持って決断したのか。国の意向には逆らえないから控訴したというのであれば、無責任であるというほかない。

「市長コメント」では、国の指導には従わざるを得ないと弁解しているが、本来「指導」には強制力、拘束力はない。なぜそのような「指導」に従わざるを得ないと判断したのか、説明がされていないではないか。

 「市長コメント」では、「実質的に訴訟の対象になっているのは、国の法解釈に基づき示された……処理基準である」というが、これは間違いである。訴訟で争われたのは、被爆者援護法施行令19条および同法施行規則52条、56条、71条の適法性である。このようなずさんな認識で控訴したのか。

「市長コメント」では、「国から当該支援策を検討、実施する意向が示された」というが、厚生労働省の「回答」なるものは、儀礼的な発言とみられるものでしかない。より明確かつ具体的なものであれば別であるが、このようなあいまいな「回答」が被爆者・在外被爆者の救済にどのように資するというのか。

政府は、現在、在外公館で健康管理手当の申請を処理すべく検討を開始している。このような状況における控訴は、支離滅裂で理解しがたいというほかない。ただちに控訴を取り下げることを求める。