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最新のニュース(2003.4.4 UPDATE)


被爆者手当、支給期限を実質撤廃 厚労相方針 '03/4/3

被爆者手当、支給期限を実質撤廃 厚労相方針 中国新聞  '03/4/3


 坂口力厚生労働相は二日、被爆者援護法に基づく健康管理手当の支給期限を慢
性疾患の場合は、実質上撤廃する方針を明らかにした。現在上限五年の支給期限
を数十年単位で大幅延長し、一度申請すれば再申請の必要がなくなるようにする
方針である。

 同日の衆院厚生労働委員会で、金子哲夫氏(比例中国・社民)の質問に答えた。
対象となる慢性疾患や支給期限の延長幅については今後、専門家に検討してもら
う方向で、坂口厚労相は「できるだけ(被爆者の)要望に沿いたい」と強調した。

 支給期限の見直しは、「高齢化した被爆者に渡日は困難」との在外被爆者の訴
えがきっかけ。厚労省は海外で申請手続きができるようにするのには難色を示し
てきたが、「一度だけの渡日で済むようにしたい」などと徐々に軟化。「国内外
を問わず被爆者の負担を軽減する」(健康局総務課)として、支給期限を事実上
撤廃する方針を固めた。

 健康管理手当は、肝機能障害や呼吸器機能障害など特定の病気にかかった被爆
者に、最長五年間、月額三万四千三十円を支給する。支給期限が過ぎて病気が治
らない場合は再申請が必要。二〇〇二年三月末現在、被爆者健康手帳取得者二十
八万五千六百二十人のうち健康管理手当の受給者は二十四万二百二十八人。

 ▽被爆者団体や支援者、早期実現求める

 坂口力厚生労働相が二日、被爆者援護法に基づく健康管理手当の支給期限を大
幅に延長し、実質的に期限を撤廃する方針を示したことについて、国内外の被爆
者団体や支援者らは歓迎し、早期の実現を求めている。

 日本被団協の田中熙巳事務局長は「高齢化した被爆者に手続きは大きな負担で
あり、十年近く前から、支給期限の廃止を訴えてきた」とし、「実質上の撤廃と
なるなら大変喜ばしい。なるべく検討期間を短くして、早期に実施してほしい」
と要望する。

 在ブラジル原爆被爆者協会の森田隆会長は「ブラジルの被爆者は、日本まで二
十四時間以上かかる長旅に耐えられない人が多い。これまで長い間、国の施策に
納得できずにいた。ぜひ実現してほしい」と話す。

 また、市民団体「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」の豊永恵三郎広島支
部長は「健康状態が悪く、手当を必要としている在外被爆者の実情を考えれば当
然のこと。韓国でも(被爆者の高齢化により)三年から五年後には、来日が困難
な人が増えるだろう」と指摘している。


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