在外在住被爆者の援護に関する要望書

在外在住被爆者の援護に関する要望書
                      韓国原爆被害者協会会長   鄭相石
                      米国原爆被爆者協会会長   友沢光男
                      在ブラジル被爆者協会理事長 森田隆
                      日本原水爆被害者団体協議会           
                                      代表委員 伊東壮     
                                   同     伊藤サカエ
                                同     山口仙二  
                                   事務局長 斎藤義雄  
       一九九六年五月二二日

 日頃から原爆被爆者に対する援護について、ご尽カをいただき心から感謝申し上げます。
 さて、私どもは昨年七月から施行されました「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」について、韓国、アメリカ、ブラジル、日本の被爆者組織として以下の点につき、早急に改善を計っていただきたく要請いたします。
 私どもは昨年八月に、はじめて一同に会して話し合いの機会をもちました。従来からそれぞれの立場で、日本政府に対して様々な要請を行って参りましたが、今回四ヶ国の被爆者の統一要求としてまとめ、その実現を要請することになったものです。
 現在韓国原爆被害者協会に所属する被爆者は二三四八人で、北米には一○四三人、南米に二○○人の被爆者が住んでいるといわれています。
 被爆から五一年が経ち、在外在住被爆者が長い歳月の健康障害、生活苦に加え、高齢化が一層すすみ、深刻な状況に置かれています。
 先生におかれましては、この実情を御理解いただき、どうか一日もはやく要請項目を実現してくださるよう要請いたします。

要求項目
(1)被爆者健康手帳を所持している被爆者については、特別葬祭給付全の請求を、来日せずに住んでいる国でできるようにしていただきたい。

特別葬祭給付金一○万円の請求のために、わざわざ来日することができず、せっかくの施策が活用できない被爆者がないよう、郵送または現地大使館、領事館で請求手続きができるようにしていただきたい。とりわけ請求期間が来年の六月三○日までと限られており、改善が急がれます。 

(2)被爆者健康手帳を所持し、健康管理手当などの諸手当を日本で受給していた在外在住被爆者が、帰国後も引き続き手当を支給できるようにしていただきたい。
 また、仕事などのため海外に住む被爆者の場合も、健康管理手当などの諸手当を継続して受給できるようにしていただきたい。
(3)被爆者健康手帳、健康管理手当、保健手当などの諸手当を郵送または現地大使館、領事館で申請できるようにしていただきたい。

生活苦や病気のため日本に来られる被爆者は限られています。来日しなくても被爆者健康手帳が申請・交付されることは、被爆者の心の安らぎにもなりまず。また、手当が受給できれば日本で治療を受けることも可能になります。一日もはやい実現が望まれます。

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