在外被爆者の援護に関する要請書内閣総理大臣宛１９９９年１０月２２日

’９９年小渕総理大臣への要請書

１９９９年１０月２２日

内閣総理大臣
小渕　恵三　殿

日本原水爆被害者団体協議会　　　　　
　代表委員　　伊東壮　　　　　　　　
代表委員　　伊藤サカエ　　　　　
　代表委員　　山口仙二　　　　　　
　　　事務局長　　藤平　典　　　　　　　

要請書

Ⅰ　核兵器の廃絶について
　私たち原爆被爆者は．「核兵器による犠牲者をふたたびつくってはならない」との思いで、被爆の実相を世界につたえています。日本政府として、枝兵器のない２１世紀を実現するため．国連総会での核兵器禁止決議を支持するなどして、世界の先頭に立って、核兵器廃絶条約の締結のために尽力してください。

Ⅱ　原爆被害への国家補償を行ってください

「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」は、国家補償の立場をとらず、原爆死没者への補償も生存者への補償もなされていません。参議院で二度も可決された被爆者援護法案の趣旨にそって、原爆被害者への国家補償を行なってください。

Ⅲ　現行施策の改善について

１、健康管理手当の更新手続きを廃止してください。
　被爆者の高齢化によって．健康管理手当の更新手続きがたいへんな苦痛になっています。６５歳以上と固定疾患については更新手持きを廃止してください。

２、在外被爆者への法の適用について
「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」が外国在住被爆者に適用されないのは、厚生省公衆衛生局長の通達（昭和４９年７月２２日付衛発第４０２）によるものです。この局長通達を廃止し、日本で受給認定を受けた諸手当は外国にいても継続受給できるようにしてください。

３、原爆症の認定について
　原爆症の認定にあたっては、厚生省が現在使っている「認定基準」（内規）を廃止し、個々の被爆状況に応じて認定を行なうようにしてください。

４、「福祉事業」について
　「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」第五節の「福祉事業」は、法定化されているにもかかわらず、法施行後５年経っても具体化されていません。広島、長崎四県市で行なわれている事業を全国で実施し、広島、長崎と全国の格差をなくしてください。

Ⅳ　原爆松谷裁判での最高裁への上告をとりさげ、松谷英子さんを原爆症と認定するようにしてください。

Ⅴ　京都原爆裁判についての控訴も取り下げ、被控訴人を一日も早く原爆症と認定するよう指導してください。
　
Ⅵ　介護保険法の実施にともなう措置について
　ア）介護保険料・利用料の減免制度を実施するよう、自治体を指導してください。
　イ）介護保険制度への国庫負担を増額し、国民負担の軽減をはかってください。

Ⅶ　原子力施設の安全と被曝者対策について
　　東海村の臨界事故を教訓に、原子力施設の安全管理を徹底し、被曝作業員、住民への健康・補償対策など必要措置に万全を期してください。

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