2005年9月26日

声   明

日本原水爆被害者団体協議会


厚生労働省は、チェ裁判の福岡高裁判決にしたがって、
上告することなく判決を確定することを要求する
                       


 福岡高等裁判所の石井広治裁判長は今日、韓国被爆者チェ・ゲチョルさんの健康管理手当および葬祭料申請を却下した長崎市長の行政処分を誤りとした長崎地方裁判所の判決を支持し、チェさん勝利の一審判決を追認した。
 日本被団協は福岡高裁の判決を全面的に歓迎する。
高齢化、病弱化した在外被爆者の居住地で手当の申請を認めるべきである。
カク・キフン裁判での大阪高裁判決以来、「どこにいても被爆者は被爆者」という在外被爆者の要求に逆らうことができず、厚生労働省は人道的立場からとしながらも、在外での健康管理等諸手当の支給継続、医療費の補助など一定の改善を図ってきた。しかし、大阪高裁の判決の趣旨を十分に理解することなく、申請に当たっては来日することを求めつづけ、すべての裁判で敗訴してきたものである。高齢化した在外被爆者にとって、来日はきわめて困難というべきで、人道の立場から健康管理手当ての申請については在外公館での申請を検討しているが、
また、法の平等性からすれば死没者に対する葬祭料の支給についても、在外からの申請が拒否されることは法の精神に反するものといわざるを得ない。
厚生労働省は本判決を重く受け止め、長崎市に上告を断念させ、判決を確定することを要求する。
 原爆は、60年前、広島・長崎に住むもの、働くものを、無差別、大量に殺傷した。戦争を推進するものも反対するものも、差別はなかった。被害者の国籍は、二十数カ国におよんでいるといわれる。どこに住んでいようと、原爆で傷つけられた被爆者のからだ、こころの痛み、苦しみは、60年経った今日でも、同じように続いている。「被爆者はどこに住んでいても被爆者」なのである。
 すべての在外被爆者に、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」を適用せよ。